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テーマ 「異性」が持っていたら「ヤバいブツ」

レギュラーセレクター 曜日

まず、公言しておかねばならぬのが、わたしは「女性」です。なので、異性と言うとこの場合、「男性」ということになるのですね。ヤバい…っていう言葉にはまず「誰が?」というのが問題だなあと思うのですが、今回は…「わたしがヤバい」。転じて「わたしがヤバくなる」。よって、「それをもってる男の子は、ヤバい」!です。ヤバくなる、そのうちわけは、以下にて…。

タイニーベッツィー

…というのは、アメリカ生まれの愛らしいお人形。着せ替えのできる手のひらサイズのドールです。寝かせると目をつぶるし、腕も足も可動! 丸いおめめなのに大きすぎず小さすぎず…愛嬌のあるお顔とヘアスタイルは様々です。実は私も一人だけ…。我が家には弟がいますが、彼はガンダムが、まあ好きです。ガンダムとか、戦闘機だとかトミカ…。部屋にプラモやフィギュアを持っているのを知っています。でも、もしもそのとなりにベッツィーがいたら! そんな守備範囲の広い男の子がいたら、これは、ときめきが、ヤバいです。

スーツ

譲れない主張です。男子に一番似合うのは、「スーツ」である。わたしはとてもスーツが好きです。友人は、スーツを称して「最後の制服」と言い、成程これは言い得て妙。規定された服が非常にときめくのです。例えば座った時ズボンの裾が持ち上がることでのぞく、油断した色の靴下とか。そのくるぶしまでのラインとか、羽織ったジャケットの肩のシワが伸びてゆくところ。酸いも甘いも知りつくす大人の男の三つ揃え…、疲れたサラリーマンの非モテスリムなスーツ…新入社員のフレッシュスーツ。この多様性は、とてもヤバいです。

手袋

性別関係なく、好きなものがあります。それは「手」です。見るのが好きです、描くのが好きです。簡単に言い表すなら…「手フェチ」です。もしも、冬、手袋をしたその手が、外した途端、実はとてもきれいだったりするのなら。わたしがそれに向かって話しかけてしまいそうな手をお持ちの方は、できれば手袋はつけたまま…で願います。きれいな手なら、それだけで、本のページを繰るのみであるその動きさえ、永遠に見ていられそうなのです。こんなことしてるアホづらな奴がいたら、ヤバいでしょ。

リベラ

もしもわたしが男の子なら、こんなふうな声を持ちたいです。ボーイソプラノと呼ばれるものは少年期のうちにしか存在しない幻の様な声だなあ…と思います。大抵の場合が、近い将来失われてしまうものです。けれど、人生のうちで一度でいいからあんな声で歌ってみたいです。彼らの歌声を聴くと、たまーに、涙が出てしまいそうでヤバいんです。人間のままでありながら、まるですごくきれいなものになれるような気がして、わたしは彼らに憧れと…少年になれない身としては、ただひどく羨ましいのです。

鉱石ラジオ

わたしは鉱石を眺めるのが好きです。きれいだったり、とても不思議な形や色だったり…部屋のどこかに置いておくのが、シアワセです。けれど、ただそれだけしかできません。もしも、鉱石を持つのが男の子なら、それを愛でつつ、「使う」ことができるのだと思うのです。それとも使わずにはいられない? どうでしょう。少なくともわたしは、鉱石がラジオになるなんて、全然思いつかないんです。そう言ったら、男の子は、きっと鼻で笑うんだろうなあ。

釣巻 和さん

87年生まれ。漫画家。代表作に『童話迷宮』『くおんの森』『水面座高校文化祭』などがある。2010年11月に坂本真綾の満月朗読館・第三夜『ベッドタイム・ストーリー』(著・乙一)にイラストを寄せ、その繊細な絵筆によって多くの視聴者を魅了した。

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