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酔いどれ作家

もしかしたら僕は馬鹿かもしれない。

ここで頭に「もしかしたら」という言葉を付けているのはあえての謙遜であり、本当はすでに馬鹿野郎であることを8割方確信しているのだが、何に対しても断言してしまうことはあまりよくないと思っているので、

あえて「もしかしたら」をつけてみたのだが、やはり頭からここまでの数行分の文章を書いている段階で確信してしまった。

僕は間違いなく馬鹿であると。

 

また同じ失敗をしてしまった。バイクでこけてしまうなら、まだしょうがないと思う。

半年近く禁止していたことを解禁した数日後に、それで失敗してしまったとしたら、それはやはりどう客観的にみても、馬鹿といわざるをえない。

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このリアリティが無い希望に満ちた世界で

あの、採用ってことですか。

この一言を言うまでに、渋谷の配達所の所長から、おおよそ必要なことと必要なものを全部受け取っていた。

「まず地下にシャワーあるから。洗濯機もここ。いつでも使ってオーケーです。洗濯物は屋上で乾かせます。部屋は二階の奥。どう、十分でしょ。これクーラー。あ、これ鍵ね。部屋とバイクの鍵。いやー、ちょうど昨日さスリランカかスロバキア出身の子が辞めちゃってね、明日から募集かけて年始までに新しく人入れないといけないなー、と思っていたところだったんだよ、運いいね君。あ、こちら小柳さん、小柳さんこちら専業さん。この人から色々教えてもらって。あ、荷物は? 中野? じゃあそれとってきて。とりあえず今日は大丈夫だから。明日の朝から一緒について回ってもらうってことで、じゃあよろしくっ」

気付いたときには、

この配達所で暮らすための設備を紹介され、部屋の鍵と、バイクの鍵を手に入れていた。

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懐かしい頭痛を糧に

いや、ほんとう普通に号泣しても不思議じゃないくらい美味かった。

お酒の話です。

 

上京してから禁酒が続いていたが、5月14日のニコニコ生放送「公開企画会議(仮)」のアンケ結果により解禁となった。

ただまあ、アンケ結果の比率が6・4ぐらいだったので、週一の休日にちょっとだけ頂くくらいの案配が妥当だと思う。

 

 

 

北海道にいた頃の僕は、間違いなくお酒大好き人間だった。

あの時期は、お酒がない人生は退屈かもしれない、と酔いに酔った頭で割と真剣に思っていた。

酒に酔うという、あの感覚がないとどんなことに対してでも「楽しくない」と思っていた瞬間が、確かにあった。

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ノンフィクションな渋谷という街

 

「渋谷の配達所だけど、大丈夫?」

 

12月21日の面接で暗に断れたあと、

「空いている配達所を探してあげる」

そういってくれた新聞配達のおじさんが、見つけてくれた街の名が、渋谷だった。

 

12月22日の19時ぐらい。中野のマックの二階でポメラを使って執筆できるかどうかの実験中だった。

 

携帯を右耳に押し当てている僕の右手には、はっきりと汗がにじんでいた。

改めてどこの配達所なら空いているのか、反芻する。

「渋谷」だ。そう、428の渋谷である。カオスヘッドの渋谷である。

し、ぶ、や、だと?

 

嬉しさよりも、動揺のほうが遥かに大きかった。

大丈夫なわけがなかった。

 

渋谷という単語を聞いた一瞬あと、僕の中で迷いと不安と手汗が生まれた。

迷いと不安と手汗をそのままに「大丈夫です」と返事をしていた。

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