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「銀」のレビュー

銀

『大日本サムライガール3』

「芸能人は、どうしてファッションデザイナーになりたガールのか?」

レビュアー:オペラに吠えろ。 Lord

 本書は、右翼団体「日本大志会」の総帥である高校生・神楽日毬がアイドルとなって政治の頂点を目指す、至道流星による小説シリーズの第3巻である。毎回、芸能界の内情を交えながら、日毬の躍進ぶりを描いているが、本作では日毬が副業としてファッションブランドを立ち上げるさまがつづられている。

 芸能人がファッションデザイナーになりたがるという例は、見渡せばそれこそ山のようにある。アイドルグループのメンバーや読者モデル出身のタレントなどが競うようにファッションブランドを立ち上げ、デザイナーとして脚光を浴びるというのは、今の芸能界では日常茶飯事といってもいいだろう。

 本書では、日毬がデザイナーとしてデビューするまでの日々を通して、芸能人がファッションデザイナーになることのメリットがこれでもかといわんばかりに説明される。一つ、芸能人としての箔がつく、一つ、お金になる、一つ、実際にデザインしなくとも元になるアイデアを出すだけでデザイナー扱いされる……などなど。

 ただ、このシリーズが面白いのは、ヒロインたる日毬の破天荒な行動が、上記に挙げたような「お約束」をことごとく覆してしまうことだ。ちょっとアイデアを出すだけでよかったはずなのに、何事にも手を抜こうとしない日毬は、洋服のデザインに本格的に関わり、結果としてブランドは大成功を収めることになる。ただし、その反面で日毬は体調を崩してしまって……。

 そんな斜め上の方向に物語が転がされるものだから、読者はついつい先が気になってしまう。エンターテインメントの基本といえば、その通り。けれども、芸能界の内情を絡めることで、「実際にあのアイドルはどうなのかな~」というふうに読めるあたりは著者の腕のなせるわざだろう。

 第3巻では、それ以外にも主要人物の今後にちょっとしたサプライズが訪れる。今後がますます楽しみなシリーズになってきた。

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2014.05.20

銀

ゲーム―Super 27years Life

追悼

レビュアー:ジョッキ生 Knight

著者の飯野さんが精力的にゲームを作ってた時代。プレステ初代やセガサターン全盛期。やってたなーゲーム。それこそゲームしてなきゃ体調悪いくらいのことを友達に言ってたわ。

残念ながら飯野さんの作ったゲーム『Dの食卓』『エネミー・ゼロ』『リアルサウンド』はやったことがない。でも兄貴がやってたのをよく見てたなー。『エネミー・ゼロ』は超難しそうで、めっちゃ死んでるのを後ろでゲラゲラ笑ってたら殴られた記憶がある。

この本ではそれらのゲームの制作過程も語られている。そのこだわり様は読んでて面白かった。音楽にこだわる。シナリオにこだわる。映像にもこだわって、果ては流通にもこだわる。もう全てに手が行き届いていないと納得がいかない。そんな想いをひしひしと感じた。そりゃー延期もするわな。

飯野さんの作ったゲームのメッセージ性の強さは、こういう所に起因していたんだね。好き嫌いがはっきり分かれるものばっかり作ってたもんなー。よく言えば個性的、悪く言うと一般的じゃないゲーム。そんなのばっかりだったよね。

読んでて懐かしかった。だから今飯野さんは何してんだろって調べて愕然としたよ。去年お亡くなりになっていたとはね。なんかショックだ。この本の中で語られている最高のRPGとやらは、もう世に出ることはないんだな。なんだろう、今無性に飯野さんのゲームがやりたくなったきたわ。

才能のある人が早くにその人生を閉じてしまうのは、なんか寂しいね。もっといろんな作品を生み出して欲しかった。そして、それを俺自身がやりかった。あー、やりきれない想いでいっぱいだよ。

いまさらだけど、飯野さんお疲れ様でした。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

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2014.05.20

銀

君の歳にあの偉人は何を語ったか

私の歳が偉人の歳と重なるとき

レビュアー:ラム Adept

この本の目次には、何歳でそう言ったのは誰か書いてある。
17歳のチャップリンから始まり、95歳の安藤百福。
27歳だけが3つあった。
君の年にこう言った、というだけに、27歳にもなるとそれぞれの道に進んでいてエピソードに事足りるというか、いわゆるアラサーは「人生の転機」なのだと思う。
著者も伝えたいことがたくさんあるのだろうなとも思った。

この本を手に取ったとき、私はまさに27歳で、人生に行き詰っていた。
仕事は楽しいけど職場の人間関係が、給料が、なんてよくある話なんだとは思う。
上司とソリが合わなくて毎日辞めたいと思っていたけど、実際人数が足りてなかったことと仲の良い同僚も多く行動できずにいた。
だから「それでは会社を辞めます。今日限り辞めます」と言った27歳の稲盛和夫に興味を惹かれた。
のちの京セラ創始者は、どんなにつらい環境でも負けずに頑張って仕事に打ち込み、仲間もできて充実していた。そして、新しい上司が嫌な奴というだけで、周りがどれだけ引き留めても辞めたというエピソードに、私はとても救われた。
そんな理由で辞めてもいいんだ!
でも私まだここまで頑張ってないなって思ってもうちょっとだけ頑張れた。
いつでも辞めれると思うと心は晴れた。
そして、前向きに辞職できた。

私は、私が27歳で27歳の稲盛和夫の言葉に出会えたことを幸運に思う。
このときじゃなかったら、絶対この言葉に感銘を受けたりしなかった。
人によって、年齢によって、胸に刺さる言葉は本当に違うものだろう。

私は31歳のナイチンゲールの言葉を、34歳の正岡子規の言葉をその年齢でまた読み直したいと願っている。

その先も、覚えておきたい言葉は、どこにあるかわからないから。

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2014.05.20

銀

画展 空の境界

道中記

レビュアー:ジョッキ生 Knight

『画展 空の境界』に行って来た。いやー、中野に行くのって何年ぶりだろ。『千と千尋の神隠し』の試写会にいったのが最後だから、えーと何年前だ?まーいっか。とにかく、それぐらい久しぶりに、中野の地に降り立ったのだった。

住んでる場所が地図上で真逆にあるため、行くのにも時間がかかるのよね。片道1時間ぐらいかな?開始が12時からだったので、11時半くらいに着くように時間を調整して、家を出発。そして、到着したのが11時半ちょい前。少し早く着きすぎてしまったようだ。

ちょっと時間も余ったし、小腹もすいたので、いい機会だしなんか道すがらのお店で食べていこうと思ったら、いいところにパン屋さんが。メープルメロンパンを推してたのでそれと、ほかに2、3個購入。どれもうまかった。

時間も丁度良くなったので、いざ中野ブロードウェイへ。いやー、どんな所なんすかね。楽しみにしつつ突撃だー!

入ってすぐに唖然。何だこれ?店ばっかりや!ちっちゃな店舗がぎっしりと。見渡す限り全部店じゃねーか。すげー。面白くなっちゃて無駄に歩き回ってしまった。目的地は2階なのに、1階をぐるっと一周してしまって、時間がヤバイ。そろそろ2階に行かなくちゃ、ってことで、エスカレーターで2階へ。

2階は2階でやっぱ店ばっか。特にまんだらけが多いのね。見かけただけでも4店舗ぐらいあったり。この階もなんか面白そうだ。とりあえず、歩きながら目的地にいこうなんて気持ちで歩いてたら、何故かまた一周してるんですけど・・・・・・。魔物が住んでるなこの場所。時間がどんどん盗まれるよー。

やっとこさ目的地に到着。でもあれ?12時前なのに何故かもう開いてる。おかしいなーと思いながらも、物販はどうなってるのか気になったので、そっちを先に確認。あっ、こっちはまだだ。でも気になる張り紙が。『整理券をお持ちの方は並ばずにお買い求め頂けます』ん?頭に中に?が浮かぶ。整理券?そんな注意書きあったけ?まあいっかとスルーして、ちょっと歩くと待機列らしき人集りが。結構並んでるなー。こりゃー大変そうだ。まあでも、欲しいのはパンフくらいだから、絵を見終わった後にでもゆっくり並ぶかーと思いながら、一旦引き返すことにした。

さて、絵を堪能する時間だ。お客さんはまだ少ないみたいだし、ゆっくり見られそうだ。おっ、一番奥に見えるは50万の絵だな。でたー、金枠の額縁だー。すげー。見るからに高そうだ。大きさもなかなか。これは家にあったら映えるなー。他人の家にあったらびっくりするレベルの威圧感。これは50万出す価値があるね。他の絵も大体1Rのスペースにぐるっと並べてあってなかなか壮観だった。

どれもいいねーと思いながら見てると、一つの絵に目が止まる。『終末録音』と題された絵。これに目が釘付けになった。赤と白のコントラスト。そして真ん中に閃く十字の光。うわー、すげー綺麗だ。なんだこれ。直感的に欲しくなってきちゃったぞ。いやまて、ちょっと冷静になるんだ。視線を下に移せば、そこには『10万』の文字。うーん、無理。絶対無理。落ち着くんだ。よーし、もう一回ぐるっと回って落ち着こう。しかし、もう一回回っても視線は『終末録音』に。いやー、10万は無理だって。でも、無理だけど、でも……。うーん、そうだ、こうしよう。クイズとか答えないと買えないらしいし、そんな用意もしてきてないから、まあワンチャンあったら購入も考えるということで。そうだ、そうしよう、と自分を納得させつつ、とりあえず物販に移動することにしたのだった。

いざ、物販待機列へ。て、すげー並んでるー。階段を2階分上がり、着いたフロアーの壁際を一周してる……だとっ!こりゃー1時間はかかるなー。まあ、ゆっくりと本でも読みながら待つとしよう。そっとボカミツ取り出して、そして読み始めた。

経つこと約1時間。ほんとにかかってるー。その間にも後ろにどんどん人は並んで行き、来た時と列の長さが変わってねー!すげーな、この列。何人並んでるんだろ?まあ、僕は一足先に買わせていただきます。皆さんも頑張ってください、と心でつぶやきながら、中に足を踏み入れた。

と、ここで、あることに気付いた。この列、もしかしてパンフとポストカードしか買えない?ということは、絵はどうやって買うんだ?・・・・・・あっ、気付いちゃったわ。あれだ、整理券だ。繋がったわ。このための整理券かー。てことは絵は買えんな。そしてクイズも出来ないのかー。うーん、なんか残念なようなほっとしたような。何だろうこの気持ち。でもこれでいいんだよ、きっと。お財布的にはさ・・・・・・。

悲しみを振り切りつつ、パンフとポストカードをゲットし、これでやることは全部終わった。さあ、帰ろう。と、その前に、もう一回だけ『終末録音』を見て帰ろう。それで全て終わりだ、と再び画展を訪れて、本日の工程は完全終了と相成りました。

いやー、長い一日だった。でも、家に帰るまでが画展だからね。雨が降っていたので、パンフが濡れないように気を使わなければ。て、何で電車がこんなに混んでるのー。やめてー。パンフが折れるー。ふいー、最後まで疲れるなー、もう!

なんとか無事、家に帰宅した。なんかいろいろあったなー。でも楽しかった!行った甲斐はすっごくあった。改めて、こんな機会を作ってくれたすべての人に感謝を。とってもいい経験でした。これにて、画展にまつわるお話は終わりとさせて頂きます!じゃあねノシ

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2014.04.22


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