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読者レビュー

銅

エレGY

若い、絶望的に若い

レビュアー:カンパンマン

こっ恥ずかしい、としか言いようのない物語でした。
主人公は馬鹿ではないでしょうか。この小説を読んでいる途中で「さっさとエレGYと付き合っちゃえよ。相手は美少女で、しかも受け入れて欲しがっているんだし」と思ったのは、僕だけではないでしょう。
そして、彼を逡巡させているのが「フリーウェアゲームを公開しているネット上のキャラと、リアルの自分との落差に落胆されたくない」という恐れのみ。そんなうじうじした気持ちを何度もぐるぐると読まされると、流石に辟易とします。
とにかく先ずは付き合ってみて、駄目なら次に行けばいいじゃないですか。男女の交際なんて、誰と付き合うかじゃなくて、付き合っている間にどういう関係を築けるかが重要なのに。

はっ! でも「若さ」と「馬鹿さ」は同義でしたね。そんな下らないことに延々と悩んでいられることこそ若さの特権だったということを思い出しました。青春というものから遥か遠くに来てしまった自分は、小利口になってしまっていて、それを忘れていたかも。
恋愛とか青春って、そもそも何だっけ、と考え直してみたい方は読んでみて損はない一冊だと思います。

P.S. もはや若くはないであろう主人公が、そんな青臭い気持ちを持ち続けていられたことが妬ましい訳じゃないんだからね、勘違いしないでよね。

2011.06.01

さやわか
カンパンマンさんは二通のレビューを送ってくださったのですが、どちらもわりと作品に寄り添うところのないレビューでした。しかしこちらのレビューは一定の愛情に基づいていますので「銅」としてよいと思います! ただ、もう一通のほうは、愛情(それは作品自体に対してでなくてもよいです)がどこにも向いていなかった。すると「この作品は自分の求めているものじゃなかった。自分の好みはこういうモノだ」という自己主張、自分個人の話に近くなってしまうのですね。たとえばこのレビューで言うと、もし「とにかく先ずは付き合ってみて、駄目なら次に行けばいいじゃないですか。男女の交際なんて、誰と付き合うかじゃなくて、付き合っている間にどういう関係を築けるかが重要なのに」という部分しかなければ掲載されなかったでしょう。……と、いうことをちょっと、あえて説明してみました。どうでしょうか?

本文はここまでです。