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カテゴリ: 編集部より

記事カテゴリ:太田克史のセカイ雑話

「雨の日、風の日、訪問日和」

さあ、ブログの始まりです。

 

タイトルは講談社の初代社主・野間清治の著作『世間雑話』からの引用。

 この野間清治という人物はとにかく「ものすごい」としか言いようのない人物で、調べれば調べるほど面白い。本宮ひろ志先生の漫画の主人公そのものというか……底知れぬ人間的魅力のある人物なのだ。まあ、日本で初めて100万部を突破した雑誌『キング』を作った男だからね。人物がおもしろくないわけがない。

さて、『世間雑話』は清治の著作から原稿を選りすぐったベストアルバム的な一作で、清治の思想はこの一冊を読めば俯瞰できる。とにかくこの男は口を開けば名言が次々に飛び出してしまうような男で、『世間雑話』もページを開く度に名言が続出していく。

 

そういった数多ある清治の名言の中で最も有名なひとことが、

 「雨の日、風の日、訪問日和」

 という名言。

 

電話もメールもないその昔は編集者が書き手の家に日参して原稿をいただきに行っていたわけだけど、人気のある書き手の場合だと、当然、各社の編集者がいちどきにバッティングして同席してしまう。そうすると新参の編集者の場合、業界内での力関係もあって、落ち着いて書き手の先生と打ち合わせもできないことになる。

 

そこで、「雨の日、風の日、訪問日和」by 野間清治 ですよ!

 

他社の編集者が外に出るのをおっくうがる雨の日、風の日こそ、書き手のもとを訪れる絶対的好機……。相手は「こんな天気のひどい日にまでわざわざ自分を訪れてくれた」と感激してくれるし、他人に邪魔されずにじっくりと打ち合わせをして話し込むことができるわけです。

もちろん現代は当時と違って手っ取り早い連絡の手段は星の数ほどあるわけだけど、だからこそ、この野間清治の「雨の日、風の日、訪問日和」のスピリットは活きてくる気がするんだな。

 

そして僕も一人の編集者として、物理的な雨の日、風の日だけじゃなくて、書き手の精神的な雨の日、風の日にそっと寄り添えるようでありたいと思っています。そういう気持ちは案外、書き手に届いたりもするし、結果として、どこかの誰か……見知らぬ読者にも届いたりもする。僕はそう信じている。

このブログも、あなたにもきっとある雨の日、風の日に届くと信じて、しばらくのあいだだけでも続けてみようと思っているので、どうかこれからよろしくお願いします!

 

 太田克史の『セカイ雑話』第一回でした。

(written by 太田克史



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