編集部ブログ昼の最前線
本日は『山月記』の再配信をご覧下さいました皆さん、ありがとうございました!
書籍版である星海社朗読館シリーズ『山月記』は本日より書店さん店頭に順次並んでおります。
こちらも合わせてどうぞ宜しくお願いいたします。
という分けで前置きが長くなりましたがアシスタントエディター・平林です。
今日ミギーさんとお話ししていて「ちょうど一年前くらい前にはじめてメールをお送りしたんでしたよね」なんて話題にのぼったんですが、さっきメールボックスを確認したら送ったのが8月13日でした。
いやぁ、1年かかりましたが、こうやって書籍になって感無量です。
ミギーさん、長丁場になってしまいましたが、素敵なイラストの数々、本当にありがとうございました!
それにしても、『山月記』はなかなか下調べが大変な作品でもありました。
イラストの資料を求めて神保町を彷徨ったり、CG素材になりそうな古書を求めて神保町を彷徨ったり、研究書を求めて神保町を彷徨ったり……。
しかし、これだけ長くつきあっていると、おぼろげにではありますが作品が実感を伴って自分の中に沁み入ってくるような感覚もあり、「古典的名作の味わい方」を時間できる得がたい機会でもあったと思っています。
色々と時代背景や敦の履歴を調べたからこそこれだけ面白く思えるのだなぁと考えると、本当に努力は裏切らない。
もちろん、「真綾さんの朗読やミギーさんのイラストは好きだけど、文章難しいなぁ……」という方もいらっしゃると思います。「忙しくてサクッとどんな話か知りたい」という方も。
そんな方には、まずは現代に翻訳して読むのをおすすめします。
旧大名家(清和源氏)の家系につながる李徴は小さい頃から秀才で、東大法学部に現役で合格したのみならず、そのままストレートで国家公務員1種に合格、見事官僚となります。
しかし、官僚生活に嫌気がさし、ライトノベル作家の道を目指してせっかくのキャリアを捨ててしまいます。数年に渡って新人賞への投稿を繰り返すも箸にも棒にもかからず、困窮したためやむなく嘗てのコネを使って地方の市職員に潜り込むという、自尊心が高い割に実力が伴わずブレブレの人生。
しかし、その屈辱に心を病み、視察と称してコミケに行く途中、ついに発狂して失踪してしまう……。
な、なんか生々しくなってしまった……。
ま、まあとにかく、「現代に置き換えるとどういうことなのかな〜?」と考えながら読むのもひとつかな、と思います。大胆に翻案しながら読んでもいいんではないかと思います。
原典にあたったり、天宝末年以降の中国の政治社会状況を調べたりするのはいつでも出来ますからね。
今度時間を作って、お詫びもかねて敦の墓参りしてこようかな……。